FIND IRAN vol.01 ミーナ・サレーさん / 日本ペルシアンダンス界の第一人者

こんにちは、PERSIAN TAGの杉森です。

日本で活躍するイラン人を紹介する企画「Find Iran」。記念すべき第一弾となる今回は、12歳で来日し21歳で会社を設立、現在は関東で3つのダンススタジオを経営するペルシアン&ベリーダンサー、ミーナ・サレーさんをご紹介致します。

12歳、突然決まった日本への移住。

杉森:こんにちは。本日はよろしくお願い致します!早速ですがミーナさんはいつ日本に来られたんですか?

ミーナ:12歳の時です。16歳上の私の姉が先に日本に移住して、演歌歌手などの活動をしてたんです。そこで、姉に会いに母と日本へ遊びに来たんですけど、母だけ先にイランに帰っちゃって・・・そのまま日本に住むようになりました。笑

杉森:なんと!開始早々びっくりな展開ですね!笑

ミーナ:そうですね。笑

そこから日本の小学校へ通うことになったんですが、当時は日本語も全然分からなかったので大変でしたね・・・。

杉森:この時点で既に波瀾万丈な人生ですね・・・その頃からダンスをやってらしたんですか?

ミーナ:はい、イランにいた頃からダンスは非常に身近な存在でした。祖母がダフ、兄がサントゥールというイランの伝統的な楽器を、そして姉がダンスをやっていたりで、日常の中で音楽やダンスに触れる機会がたくさんありました。姉はよく結婚式のパーティーなどでダンスを披露していたので、私はそれを観て育ちました。

杉森:なるほど、生まれながらにダンスをする運命だったのかも知れませんね。

ミーナ:はい、多分踊りながら生まれてきたんだと思います。笑


家での料理中もダンスは欠かせないミーナさん

杉森:まさにサラブレットですね・・・!日本に来てからはどうですか?

ミーナ:日本ではまず姉が演歌歌手の活動と並行してベリーダンスなどのレッスンもしてまして、私もそれに付いていくようになりました。その中で、姉からダンスを学びながら一緒にレッスンをするようになっていったんです。

高校生くらいからは街のカルチャーセンターなどで自分のクラスを持ち、講師としての活動をスタートしました。

21歳、ダンス一本で会社を設立。

杉森:高校生の頃から講師をやってらしたのですね!すると、このスタジオもお姉さんが作られたのですか?

ミーナ:スタジオは私が作りました。姉と活動してた頃は個人経営でしていたのですが、私が大学生の時に姉が癌で他界してしまい、これからどうしよう・・・というタイミングで会社を起こしました。

その頃は「ダンス1本でも会社は成り立つんだ!」というのを証明したかった、という思いもありました。

杉森:なるほど・・・そして今や会社設立13年目ということなので、素晴らしい有言実行っぷりですね・・・!

ミーナ:ありがとうございます。笑 最初は西葛西でスタジオをオープンしたんですが、家賃払えるかな・・・など、不安でいっぱいでした。でも、思い切ってやってみるといい感じでいきましたので、改めて錦糸町のスタジオをオープンし、その後横浜・立川のスタジオも開き、現在は3店舗を運営しています。

錦糸町スタジオのフロア
錦糸町店のフロア。ペルシャ絨毯は踊りやすく足腰にも負担が少ない。

杉森:ダンススタジオで多店舗経営されているのも珍しいですよね。スタジオではどんなダンスを教えているのですか?

ミーナ:私たちのスタジオは、ベリーダンスペルシアンダンスに特化し、その中で様々なクラスを設けています。ベリーダンスはアラブのダンスで、ペルシアンダンスはその名の通りイランのダンスですね。

杉森:なるほど。ベリーダンスとペルシアダンスは別物で、それぞれを学ぶことができる、ということですね。

ミーナ:そうです。あと、実は「ベリーダンス」や「ペルシアンダンス」と言っても様々な種類があるんですね。ベリーダンスならトルコ系やエジプト系、ペルシアンダンスも「バンダリ」や「アゼリー」など様々なジャンルがあり、それら教えています。

ペルシアンダンス

ベリーダンス

また、日本の舞踊とベリーダンスをミックスした当スタジオオリジナルの「和ベリー」などのレッスンも行ってます。

和ベリー

杉森:おお!オリジナルの創作ダンスも作られてるのですね!

・・・・というか、そもそもなのですがミーナさんはイラン出身ですよね?だけどベリーダンスはアラブのダンス。イランでもベリーダンスはポピュラーなんですか?

ミーナ:実は、イランではベリーダンスを踊っている人は少ないんです。ですが、私の母が以前クエートに住んでいて、アラブ人の友人たちがよくイランの家に来てたんですね。そこで彼女たちからベリーダンスを教えてもらったりしてましたので、小さい頃からベリーダンスも非常に身近な存在でした。

イランでダンスは「教えてもらう」ものではなく「いつの間にかできてる」もの

杉森:なるほどですね!ペルシアンダンスも小さい頃からレッスンを受けていたんですか?

ミーナ:実はペルシアンダンスはレッスンを受ける、というよりも生活の中で踊れるようになっていたという感じなんです。というのも、イランでは結婚式など、人が多く集まるパーティーがよくあり、そこでその地域の伝統的なダンスなども踊ったりもします。そういったものを小さい頃から観て、一緒に踊っていました。なので「教えてもらって踊る」というよりも「観てるうちに、いつの間にか踊れる様になっていた」という感じです。

イランの結婚式の例。新郎新婦が踊りながら入場し、最後は参加者全員でダンス

杉森:そうなんですね!その辺りは「イランのお国柄」というような感じで、日本とは少し異なるかも知れないですね。

ミーナ:はい、それで言うと日本は「踊る」よりも「歌う」方が身近かも知れないですね。学校の授業で合唱したり友達とカラオケ行ったりと、歌を歌う機会は多いと思いますが、踊る機会は少ないですよね。イランでは逆にダンスが日常の生活の中に根付いている感じなんです。

杉森:なるほど!その国に根付いている文化や風習の違い・・・面白いですね。

そんなペルシアンダンスですが、ペルシアンダンスが学べるスタジオって日本では珍しいですよね?

ミーナ:そうですね。ぺルシアンダンスはまず教えられる人が日本にはあまりいないので、少ないと思います。なので、実は全国のダンススタジオからよくペルシアンダンスの出張レッスン依頼も頂戴し、全国各地でレッスンを行っています。

取材当日のレッスン風景。中級クラス。

ダンスは禁止?現在のイランのダンス事情

杉森:ミーナさんは小さい頃からイランでダンスに触れてきたとのことですが、たまに私、「イランではダンスが禁止されてる」というニュースを見るのですが、その辺のイランのダンス事情はどんな感じなんでしょう?

ミーナ:イランでは現在は公共の場や舞台などでダンスを踊ることは基本的に禁止されています。ただ、一部の伝統的なダンスや男性が踊るものなどはOKだったりするようです。

それでも私は踊りたい|中東解体新書|NHK NEWS WEB

イスラム体制を生き抜く イランの女たち

※参考記事

杉森:なるほど、公共の場でのダンスが禁止されているのはいつからですか?

ミーナ:1979年のイラン革命後ですね。現在の体制になってから禁止されました。革命前は、シャー(王)がダンスはじめ西洋の文化が好きだったようで、その時代はナイトクラブでダンスを踊って、なんてのも普通だったようです。

杉森:政府が禁止すると、ダンス文化が廃れてしまう恐れなどもあるんじゃないでしょうか?

ミーナ:いや、イランのダンス文化が廃れることはまずないと思います。公共の場での踊りを禁止されていても、イランでは結婚式などの大切なイベントでは、それぞれの地域で受け継がれているダンスをみんなで踊り、こどもたちはそれを見て学ぶ、という形で後世へと繋がって行きます。だから、どんな社会になろうとも、イランの人々の血に根づいているダンスの文化は、決して無くならないと思います。

杉森:それほどダンスはイランの文化の一つとして根付いているということですね。

ミーナ:イランの一つの歴史を見てみても、ペルシャ帝国の時代(約2500年前)にはインド〜トルコあたりまでが一つの国となり、その間にアラブやエジプト、トルコなど様々な文化が入ってきて、イランの中でも踊りはもちろん様々な文化が互いに影響を受けながら、発展してきました。イスラームが生まれたのが約1400年前なので、その前からイランでは、ペルシアンはもちろん、様々な国の音楽やダンスなどが親しまれてたんです。最も、ペルシャ帝国以前からダンスの文化はあったのですが。

ダンスは人を人を繋ぐコミュニケーションの一部


東京のペルシャ料理店でダンスを披露するミーナさん

杉森:なるほど。数千年前からもダンスは人々の間で欠かせないものになっているんですね。

ミーナ:踊りというものは元々、その地域の人たちをつなげるコミュニケーションの一部なんです。人は共通のコミュニティ内の繋がりを持つため言語を作り、音楽を奏で、詩を謡い、ダンスを踊り、文化というものが作られていきました。 この文化は何千年も前からイランの地で育まれてきたものです。

たまに「イランなのにダンスって踊るんだ、不思議。」という声もたまに聞きますが、逆なんですよね。ダンスを禁止している政府が生まれるずっと前からイランではダンスの文化が根付いてるので、逆に「イランなのにダンスが踊れない」という方が不思議な感じはします。

杉森:なるほど・・・私たちの様な外国人がイランに旅行で訪れても、なかなかペルシアンダンスに触れる機会も少ないので、今回のお話しはとても貴重でした。ありがとうございました!

では、最後に教室の宣伝をお願いします!

ミーナ:私たちの教室は、入門〜上級者クラスまであり、様々なレベルの方にペルシアンダンスやベリーダンスのレッスンをしています。各クラス1,000円の初回体験もありますので、気になる方は是非お気軽にいらしてください!

錦糸町店のスケジュール
週間スケジュール。キッズや入門クラスも充実。

また、年1回行っている教室全体の発表会が、2021年は10月31日に開催します!この日はペルシアンダンスも踊る予定ですので、こちらも是非よろしくお願い致します^^

国際アラビアンダンス協会発表会

 

杉森:はい、それでは本日はありがとうございました!

ミーナ:ありがとうございました^^

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MSベリーダンススタジオの詳しい情報は、こちらの公式ウェブサイトでも確認できますので、是非ご興味ある方はチェックしてみてください。

それでは、また次回のFind Iranもお楽しみくださいませ。