魅惑の歴史が詰まったイランの世界遺産、全26件をエリア別にご紹介!

イランの世界遺産

こんにちわ。PERSIAN TAGの杉森です!

イランは世界で最も早くに文明が発達した地域のひとつで、その長い歴史の中で独自の文化を発展させてきた国。そんなイランは、世界の中でも多くの世界遺産を持つ国のひとつ。

本記事ではイランの世界遺産を1箇所ずつご紹介いたします!エリア別に紹介しますので、是非旅行のプラン作成時にもお役立てください。

イランの世界遺産は全26件!

イランの世界遺産
世界遺産・ヤズドの旧市街 / 筆者撮影

実はイランは、世界で10番目に多い26件の世界遺産が登録されている国。ちなみに日本は25件で11位です。

イランは政治的な関係などで旅行先としてはまだまだマイナーな国ですが、歴史が深い故に、実は観光資源も豊富な国なのです。

そんなイランの世界遺産のリストは下記の通りです。
  ※順番は登録順

1. チョガー・ザンビール
2. ペルセポリス
3. イスファハーンのイマーム広場
4. タフテ・ソレイマーン
5. パサルガダエ
6. バムとその文化的景観
7. ソルターニーイェ
8. ベヒストゥン
9. イランのアルメニア人修道院建造物群
10. シューシュタルの歴史的水利施設
11. タブリーズバザール
12. シャイフ・サフィーアッディーン廟
13. ペルシャ式庭園
14. ゴンバデ・カーブース
15. イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ
16. ゴレスタン宮殿
17. シャフリ・ソフタ
18. スーサ(シューシュ
19. メイマンドの文化的景観
20. ペルシア式カナート
21. ルート砂漠
22. ヤズドの歴史都市
23. ファールス地方のサーサーン朝考古景観
24. ヒルカニアの森林群
25. イラン縦貫鉄道
26. ハウラマン / ウラマナトの文化的景観

イランの世界遺産マップ

こちらがイランの世界遺産マップです。

「イランのアルメニア人修道院建造物群」「ペルシャ式庭園」「ファールス地方のサーサーン朝考古景観」「ペルシア式カナート」は複数箇所で登録されているので、代表的な場所をマップ登録しました。

マップ登録されてない「ヒルカニアの森林群」はイラン北部のカスピ海沿岸沿いに広がる森林地帯。

イランの世界遺産 ヒルカニアの森の地図
紫部がヒルカニアの森 / ©︎Terpsichores

「イラン縦貫鉄道」はイラン北部から南西部を横断する鉄道路線になります。

イランの世界遺産 イラン縦貫鉄道の路線図
イラン縦貫鉄道の路線図 / ©︎Hhgygy

それでは、エリア別に1件ずつみていきましょう!

首都・テヘラン周辺の世界遺産

イランの首都、テヘランは他都市と比較して歴史が浅く、世界遺産は1件のみです。多くの旅行者のイランの玄関口となる都市ですので、是非世界遺産にも足を運んでみましょう!

ゴレスタン宮殿

イランの世界遺産_ゴレスタン宮殿
とにかく豪華絢爛な内装 / 筆者撮影

観光スポットとしても高い人気を誇るゴレスタン宮殿は、近代イランの歴史を象徴するスポットです。

19世紀のガージャール朝時代に王の宮殿と政庁として使用され、現代はその時代などに世界中から集められた宝石や美術品が展示されている博物館となっています。

その建物はペルシアンとヨーロピアンの建造美の融合が豪華絢爛で美しく、非常に見応えのあるスポットとなっていると同時に、現代の建築にも大きな影響を与えたガージャール建築の最もたる例として世界遺産に登録されています。

英名:Golestan Palace
地図:Googleマップ
アクセス:テヘラン市街地から徒歩圏

中部・イスファハーン周辺の世界遺産

旅行での人気ナンバーワン都市・イスファハーンには2件の世界遺産があります。 イスファハーンは、テヘランからバスで6時間、飛行機で1時間ほどで行けます。

イスファハーンのイマーム広場

イランの世界遺産_イマーム広場
テラスから眺めるイマーム広場 / 筆者撮影

イスファハーンのイマーム広場は、イランが最も栄えた時代である16世紀サファヴィー朝時代の王・アッヴァース1世が作った、政治・経済・宗教など国を形成するすべての要素の中心地となる場所。まさに「イスファハーンは世界の半分」という言葉で象徴されるような壮大な広場です。

広大な広場を囲む全長1.5kmにも及ぶアーケードと各辺に作られたモスクや音楽堂などは、まさにイランの歴史が築き上げてきた技術や芸術、思想、伝統などを形にしたスポットとして世界遺産に登録されています。

また、現在でも単なる観光スポットとしてでは無く、市民の憩いの場としても愛されているイマーム広場では、たくさんの愛と平和が感じることができる場所でもあります。

英名:Naqsh-e Jahan Square
地図:Googleマップ
アクセス:イスファハーン市街地から徒歩圏

イスファハーンのマスジェデ・ジャーメ

イランの世界遺産 ジャーメモスク
圧倒的な規模感と精細なアートはまさに芸術 / 筆者撮影

イスファハーンにある巨大モスク、マスジェデ・ジャーメ(ジャーメモスク)は、ペルシアンスタイルのモスクの建築の歴史が詰まった場所です。

このモスクは元々は771年(1300年前!)に造られて以降、長い歴史の間で様々な増改築を重ねることで、あらゆる時代の建築が入り混じった世界的にも珍しい建物。それは、イスラム建築学者の言葉を借りれば「建築様式の博物館」と呼べるほど。

様々な様式の建築や芸術を楽しめるのはもちろん、その圧倒的スケールと繊細な美しさがが宿るこのモスクは、文字通り世界の遺産です。

英名:Jameh Mosque of Isfahan
地図:Googleマップ
アクセス:イスファハーンから市街地から徒歩圏

南部・シーラーズ周辺の世界遺産

イスファハーンと並び観光都市として人気の高いシーラーズ近郊には、4件の世界遺産があります。

シーラーズは、テヘランからバスで12時間、飛行機で1.5時間ほどで行けます。

ペルセポリス

イランの世界遺産 ペルセポリス
2000年の時を超え鎮座する守護像 / 筆者撮影

「ペルシャの国」の始まりであるアケネメス朝ペルシアの都、ペルセポリス。約2,500年前の遺跡です。

当時の「世界の中心」とも言えるこの遺跡は、2,500年前もの時代に築かれた壮大な遺跡ということで歴史的価値も非常に高く、加えて「ペルシャの始まりの地」として伝統的、思想的にも大いなる意味を持つ遺跡ということで、世界遺産に登録されました。

非常に昔の遺跡なので崩壊している建造物も多く、単に「遺跡を見にいく」という気持ちで行くと「ああ、こんなもんなのか・・・」という気持ちになるかもしれません。しかし、この場所は紛れもなく当時の世界の中心であった場所。少しだけでも当時の歴史の勉強をしてから訪れてみると、きっと胸の中で込み上げてくる何かがあると思います。

英名:Persepolis
地図:Googleマップ
アクセス:シーラーズからタクシーで1時間

パサルガダエ

イランの世界遺産 パサルガダエイ
キュロス2世の墓 / 筆者撮影

パサルガタエも、ペルセポリスと同じくアケネメス朝時代の遺跡です。こちらはペルセポリスよりも歴史は古く、アケネメス朝の初代の王であるキュロス2世が建設した都です。(ペルセポリスのダレイオス1世は3代目の王)

ただ、キュロス2世は都が完成する前に殺されてしまい、ここ墓が建てられました。その墓が今での遺跡として現存しています。

「アケネメス朝ペルシアの初代の王」ということは、ペルシャという国の建国者。その為、現在のイランでもキュロス2世はイラン建国の父とされており、特にイランの人たちにとってはかけがえの無いスポットとなっています。

英名:Pasargadae
地図:Googleマップ
アクセス:イスファハーンからタクシーで2時間

ペルシャ式庭園 (エラム庭園)

イランの世界遺産 ペルシア式庭園(エラム庭園)
冬の写真。春には花が咲き誇りより華やかに / 筆者撮影

2011年に世界遺産に登録されたペルシャ式庭園。 このエラム庭園含め、下記の9箇所の庭園が「ペルシャ式庭園」として世界遺産として登録されました。

・パサルガダエ庭園 / パサルガタエ
・エラム庭園 / シーラーズ
・チェヘル・ソトゥーン庭園 / イスファハーン
・フィン庭園 / カーシャーン
・アッバース・アーバード庭園 / ベフシャフル
・シャーザデー庭園 / マーハーン
・ドーラト・アーバード庭園 / ヤズド
・パフラヴァンプール庭園 / メフリーズ
・アクバリーエ庭園 / ビールジャンド

ペルシャ式庭園の特徴としては、エデンの園を模して作られた4分割に美しく分割された様式や、「水」を芸術的に使用している点。

水の少ない乾燥地帯だからこそ、あえて水路を張り巡らせることで、日常の中に潤いをもたらしまさに「オアシス」のような存在に。色鮮やかに咲き誇る花々とともに、昔から人々の心を癒し続けきました。

また、他国に与えた影響も大きく、世界最大のペルシャ式庭園は、なんとあのインドのタージマハル。

イランには世界遺産に登録されている庭園以外にも、どの街にも素敵な庭園が数多くあるので、是非旅行では様々な庭園を楽しんでみてください。

英名:The Persian Garden
地図:Googleマップ (エラム庭園)
アクセス:シーラーズ市街地から徒歩圏(エラム庭園)

ファールス地方のサーサーン朝考古景観

イランの世界遺産 ファールス地方のサーサーン朝考古景観
アルダシール1世宮殿 by S.H. Rashedi / Copyright : ©ICHHTO

シーラーズが属するファールス地方とはイランの中南部にある地方で、ペルセポリスなど古代ペルシャ発祥の地。

3〜7世紀のサーサーン朝ペルシア時代の遺跡8件が「ファールス地方のサーサーン朝考古景観」として2018年に世界遺産に登録されました。 フィールーズアーバードの遺跡はじめ、3都市計8箇所の遺跡が登録されています。

・ドフタル城 / フィールーズアーバード
・アルダシール1世の叙任のレリーフ / フィールーズアーバード
・アルダシール1世の勝利のレリーフ / フィールーズアーバード
・シャフレ・グール / フィールーズアーバード
・アルダシール1世宮殿 / フィールーズアーバード
・古代の都市 / ビーシャープール
・シャープール洞窟 / ビーシャープール
・サーサーン朝時代の宮殿 / サルヴェスターン

単に考古学的に重要というだけではなく、サーサーン朝はアケメネス朝とともにペルシャ帝国の王朝で、現在のイランの人々も誇りに思う歴史の一時代。イラン人にとって精神的な点でも大きな意味を持つ場所です。

2018年に世界遺産に登録されたばかりなのでまだまだ日本では知名度も低いですが、観光都市であるシーラーズからも行きやすいので、歴史好きにはおすすめなスポットです。

英名:Sassanid Archaeological Landscape in Fars Province 
地図:Googleマップ アルダシール1世宮殿
アクセス:シーラーズからタクシーで1.5時間アルダシール1世宮殿

中東部・ヤズド周辺の世界遺産

ゾロアスター教の聖地でもあるヤズドには1件の世界遺産があります。ヤズドは、テヘランからバスで10時間、飛行機で1時間ほどで行けます。

ヤズドの歴史都市

イランの世界遺産 ヤズドの歴史都市
by S.H. Rashedi / Copyright : ©ICHHTO

ヤズドは2017年に街全体が世界遺産として登録されました。

その特徴はなんと言っても、街全体が究極のエコシステムの元に作り上げられているという点。元来水が貴重なこの街は、カナートと呼ばれる地下用水路で水を汲み上げ、家屋はその土地の資源である日干しレンガで作られ、暑い気候に対応するためにバードギールという自然の力を利用した空調システムが取り入れられてます。

人が住みやすい様に土地を開拓するのではなく、その土地の特色や自然に合わせて築き上げて来た街こそがこのヤズド。まさに、先人の知恵が創り上げた「世界遺産」です。

英名:Historic City of Yazd
地図:Googleマップ(中心地)
アクセス:ヤズド市街地から徒歩圏

南東部・ケルマーン周辺の世界遺産

サーサーン朝時代からの歴史を誇るケルマーン周辺には、3件の世界遺産があります。 ケルマーンへは、シーラーズやヤズドからバスで5時間ほどです。

バムとその文化的景観

イランの世界遺産 バムとその文化的景観
美しく復元された城砦 / 筆者撮影

古代からの歴史があるバムには、アルゲ・バムという城塞都市の遺跡があり、それを中心に2004年に世界遺産に登録されました。

古くはサーサーン朝に頃に都市が築かれ始め、サファヴィー朝の時代に現在の城壁が完成されました。 日干しレンガで造られた街としては世界最大の規模を誇り、古代の要塞としては非常に価値の高い遺跡でしたが、残念なことに2003年にバムを襲った大規模地震により、遺跡のほとんどが崩壊しました。

しかし、現在も続く懸命な復興作業により、現在では見応えのある景観が戻ってきており、観光スポットとしての人気も回復しているスポットです。

英名:Bam and its Cultural Landscape
地図:Googleマップ
アクセス:ケルマーンからタクシーで2.5時間

ルート砂漠

イランの世界遺産 ルート砂漠
迫力のあるヤルダン地形 / 筆者撮影

2016年にイラン初の自然遺産として世界遺産に登録されたルート砂漠は、480km×320kmに渡る広大な砂漠。

過去に70.7℃を記録した、地球上で最も暑い場所とされるこの土地の気候は過酷で、昆虫や植物含め一切の生命を許さないほど。

加えて、何千年もの間の夏から秋にかけて吹く強風が創り出す大規模なヤルダン地形(岩などが風で削られてできる地形)は、この地球の姿とは思えないほどの絶景で、地学的にも非常に貴重なスポットとなれています。

英名:Lut Desert
地図:Googleマップ
アクセス:ケルマーンからタクシーで2時間

メイマンドの文化的景観

Maymand Shop
メインマンドの洞窟住宅

メインマンドは半遊牧民が自給自足で暮らす村で、12,000年前から定住が始まったという説もあるほど歴史が長い村。

この辺りは砂漠地帯で気候の変動も激しく、季節によって3種類の住居を使い分ける風習が古来からあり、特に冬の間に使用する岩を掘った住居が特徴的。

この村の岩窟住居の起原は様々な説があり、紀元前800年前からあるとか、アルケサス朝から定住が始まったとか、イスラームが伝わってからだとか諸説ありますが、今現在でも住んでいる人がおり、遊牧民の中で古代より受け継がれた生活を垣間見ることができる貴重な場所です。

英名:Cultural Landscape of Maymand
地図:Googleマップ
アクセス:ケルマーンからタクシーで3時間

北西部・タブリーズ周辺の世界遺産

イラン北西部の主要都市、タブリーズ周辺には3件の世界遺産があります。 タブリーズは、テヘランから飛行機で1.5時間、バスで10時間ほどです。

タブリーズのバザール

イランの世界遺産 タブリーズのバザール
Copyright : ©Sorush Angabini

イランには各都市に特徴的なバザールがありますが、唯一世界遺産に登録されているのが、このタブリーズのバザール。

タブリーズは昔から東西世界の中継地として、貿易や商業が非常に栄えてきた街。タブリーズの中心にあるバザールは中東最古かつ世界最長の商業施設として、2010年に世界遺産に登録されました。

このバザールは併設されたモスクなどでの宗教行事や教育、技能訓練など単に商業施設としてだけでなく、多方面に渡る社会的なコミュニケーションの場として発達し、それがイランの他のバザールにも影響を与えたと言われています。

2019年の5月に火災が発生し一部が焼け落ちてはしまいましたが、現在でも復旧活動は続き、イランの商業の大動脈としてバリバリ営業中です。

英名:Tabriz Historic Bazaar Complex
地図:Googleマップ
アクセス:タブリーズ市街地から徒歩圏

イランのアルメニア人修道院建造物群

IMG_4239 Jolfa, Iran
聖ステファノス修道院

イランはペルシャ人の国家と思われがちですが、実は北西部のアゼルバイジャン地方(アゼルバイジャン共和国ではなく、イランのアゼルバイジャン地方)には、ペルシャ人ではなく、多くのアゼルバイジャン人が住んでいます。

イランに住むアゼルバイジャン人は現在はほとんどがイスラム教徒ですが、昔からこのあたりはキリスト教(アルメニア正教会)が根強く浸透している地域でした。

2008年に世界遺産に登録された修道院建造物群は、

・聖ダデオス修道院
・聖ステファノス修道院
・聖マリア聖堂
以上の3つの建造物から成り、現在も毎年7月頃になると多くのアルメニア人が巡礼で集まる、現在も宗教的に非常に大きな意味を持つスポットとなっています。
英名:Armenian Monastic Ensembles of Iran
地図:Googleマップ 聖ステファノス修道院
アクセス:タブリーズからタクシーで3.5時間聖ステファノス修道院

アルダビールのシャイフ・サフィーアッディーン廟の歴史的建造物

Iran 2017 - Ardabil
金がふんだんに使用された豪華絢爛な内装

現在のイランの国教であるイスラム教シーア派を初めてイラン全域に広めた王朝が、16世期に建国されたサファヴィー朝。

ここは、サファヴィー朝を建国したイスマイール1世と、彼の先祖であるサファヴィー教団の祖、シャイフ・サフィーアッディーンが眠る霊廟とその周辺施設です。

サファヴィー朝の源流であるスーフィズムの哲学の元に建設された建造物は、宗教的・歴史的にも現在のイランを語る上に非常に大きな意味を持っていることに踏まえ、その建築も圧巻です。

鮮やかなモザイクタイルが飾られた廟の中は、天井から壁面まで繊細な細工で施され、まさに当時の芸術が詰め込まれている建造物です。

英名:Sheikh Safi al-din Khānegāh and Shrine Ensemble in Ardabil
地図:Googleマップ
アクセス:タブリーズからアルダビールまでバスで5時間・アルダビール市街力徒歩圏内

北部・ザンジャーン周辺の世界遺産

北部の街、ザンジャーン周辺には3件の世界遺産があります。 ザンジャーンはテヘランからバスで4時間ほどです。

ソルターニーイェ

イランの世界遺産 ソルターニーイェ
Copyright : © Sorush Angabini

14世期にはモンゴル系のイルハン朝の首都となったソルターニーイェは、イルハン朝8代目・ウルジャイトゥーの命によって造られた都市です。

中でもウルジャイトゥーの廟として建てられた建物には直径25m、高さ約50mの巨大な二重構造型ドームがつけられ、その内部には美しい細工が施されています。

二重構造型ドームといえば、ルネッサンス時代にはフィレンツェのサンタマリア・デルフィオーレ(1436年)やバチカンのサンピエトロ聖堂(1590年)など、ヨーロッパでポピュラーな建築方法となりました。

しかし、このウルジャイトゥー廟が完成したのは1312年頃。世界に先立って確立されたこのドームの建築法は、イスラーム世界のみならず西洋の建築にも多大なる影響を与えたほど、歴史的価値の高い建造物です。

英名:Soltaniyeh
地図:Googleマップ
アクセス:ザンジャーンからタクシーで1時間

ヒルカリアの森林群

イランの世界遺産 ヒルカリアの森林群

カスピ海の南海岸に沿うようにして850kmに広がるヒルカニアの森林郡は、2019年に世界自然遺産に登録されました。

5000万年前から存在するとも言われるこの森林には絶滅危惧種であるペルシャヒョウなど58種の哺乳類や180種の鳥類が生息するなど、生物の多様性が非常に大きいまさに「自然の宝庫」。

イランの北部は、まるで南米を彷彿させるほどの壮大な自然が広がる地域で、気候的にも夏は避暑地としても人気が高く旅行にも最適なので、この時期にイランに行かれる方は要チェックです。

英名:Hyrcanian Forests
地図:先出の画像参照
アクセス:カスピ海沿岸部の各都市からツアー

タフテ・ソレイマーン

イランの世界遺産 タフテ・ソレイマーン
Copyright : Elaheabed

タフテ・ソレイマーンは、サーサーン朝時代に建築されたゾロアスター教の神殿の遺跡です。

この遺跡は、火山と湖の側に造られており、火や水を信仰するゾロアスター教の聖地として大きな意味を持つ点や、そのレイアウトや建築法は、以後のイスラム建築に大きな影響を与えたということで2003年に世界遺産に登録されました!

大自然の中に突如現れるその大きな遺跡を見ると、古代から続く宗教が与える力の大きさがヒシヒシと感じられるスポットとなっています。

英名:Takht-e Soleyman
地図:Googleマップ
アクセス:ザンジャーンからタクシーで3時間

西部ケルマーンシャー周辺の世界遺産

イラン西部の街、ケルマーンシャー周辺には2件の世界遺産があります。 ケルマーンシャーへは、テヘランから飛行機で1.5時間、バスで7時間ほどで行くことが可能です。

ベヒストゥン

Bisotun

2006年に世界遺産に登録されたベヒストゥンは、アケネメス朝の3代目王・ダレイオス1世が、自らの即位を主張するために文章と、5.5m×3mの巨大な王のレリーフです。

特に文章は2000年以上の前のペルシャ帝国の記録が文章として残されている点で非常に歴史的価値の高いもの。加えて古代ペルシャ語、エラム語、アッカド語の3カ国語の長文で書かれており古代ペルシャ語では現存するものの内、最も古いものとされています。

その上、この碑文は古代ペルシャ語、エラム語、アッカド語を解読するための非常に重要な資料ともなっており、この碑文があったからこそ、以降の古代メソポタミアの研究も大きく進展することとなりました。

現在はこの碑文には保存の為に近づけなくなっているため、設置されている望遠鏡越しに遠くから眺める形にはなりますが、歴史好きとしては非常に心躍るスポットです。

英名:Bisotun
地図:Googleマップ
アクセス:ケルマーンシャーからタクシーで45分

ハウラマン/ウラマナトの文化的景観

イランの世界遺産 ハウラマン/ウラマナトの文化的景観
Copyright : © Hamid Binaei Faa

5000年前からこの地帯で暮らすクルド系のハワラミ族は、厳しい山岳地帯の気候に適応するために山の斜面に階段状の集落を作ることで、長らくこの地域で生活してきました。

土地含め、限られた資源の中で知恵を絞り、生産的に暮らすということを数百数千年に渡り実践してきたからこそ残るこの景観、そしてそこで生まれた生活手段はまさに究極のサスティナブルを感じる場所です。

イラク国境付近のこの地帯は、イラン政府と対立するクルド系組織が活動しているエリアの近くということもあり、現在は治安があまり良くなく観光向けの場所ではないのですが、一度は訪れてみたいものです。

英名:Cultural Landscape of Hawraman/Uramanat
地図:Googleマップ
アクセス:ケルマーンシャーからタクシーで4時間

南西部の街・アフヴァーズ周辺の世界遺産

南西部の街、アフヴァーズ周辺には3件の世界遺産があります。 アフヴァーズには、テヘランから飛行機で1.5時間、バスで10時間ほどで行くことが可能です。

シューシュタルの歴史的水利施設

イランの世界遺産 シューシュタル
筆者撮影

昔から世界共通として、都市が栄る為には人々の生活に水をもたらす大きな川が非常に大切にされてきました。

このシューシュタル近辺も、カールーン川の恩恵を受け昔から発展と遂げてきた地域。 そしてその肝となっているのが、2009年に世界遺産に登録された、シューシュタルの歴史的水利施設。

その誕生はなんと1800年前で、メソポタミアやローマの技術も取り入れたとされるその技術は、その後の世界の灌漑技術の発展に大いなる影響を与えたとされています。 建設当初からこのダムは人々の生活に潤いを与え続け、更には水力発電などにも使用されてきました。

18世紀以降には存亡の危機にも立たされましたが、1973年に再建が進められ、結果現在も現役で利用されています。 現在は夜の幻想的なライトアップも美しく、非常に人気の高いスポットの一つです。

英名:Shushtar Historical Hydraulic System
地図:Googleマップ
アクセス:アフヴァーズからタクシーで2時間

チョガー・ザンビール

イランの世界遺産 チョガー・ザンビール
筆者撮影

1979年にイランで初めて世界遺産登録されたのが、このチョガー・ザンビール。 ペルシャ帝国が誕生する遥か昔の3000年以上前(!)の紀元前1250年頃、古代エラム人が建築した世界最大級のジッグラト(神殿)です。

残念なことに過去には破壊された歴史などもあり、現存するのは1/2程度の高さになりますが、それでもその存在感は圧巻です!

加えて、古代のジッグラトとしては世界中のどこよりも状態がいいものなり、歴史的にも非常に価値の高いスポットとなっています。

英名:Tchogha Zanbil
地図:Googleマップ
アクセス:アフヴァーズからタクシーで2時間

スーサ(シューシュ)

イランの世界遺産 スーサ
by Babak Sedighi / Copyright : © ICCHTO

「目には目を、歯に歯を」で知られるハンムラビ法典が発掘された場所でもあるスーサ。その歴史は古く、5000年以上前からエラム王国の主要都市として栄えました。

その後もアケネメス朝やアルケサス朝時代には都市として栄え続けたスーサには、様々な時代の遺跡が発見され、古代の都市計画や建築デザイン、イランの歴史を語る上では非常に大きな意味を持つ遺跡として、2015年に世界遺産に登録されました!

同じく世界遺産であるチョガー・ザンビールやシューシュタルの近くにあるので、セットで回るのが一般的です。

英名:Susa
地図:Googleマップ
アクセス:アフヴァーズからタクシーで2時間

北東部の街・ゴルガーン周辺の世界遺産

北東部の街、ゴルガーンには2件の世界遺産があります。 ゴルガーンには、テヘランから飛行機で1時間、バスで6時間ほどで行くことが可能です。

ゴンバデ・カーブース

イランの世界遺産 ゴンバデ・カーブース
Copyright: © Atusa Momeni

2012年に世界遺産に登録されたゴンバデ・カーブースは、53mの高さを誇る「世界で最も高い完全レンガ造り」の塔です。

ビルの高さに換算すると20階建てのビルに匹敵するこの塔は、約1000年前のズィヤール朝時代に造られました。

この辺りはその後モンゴル軍に侵略され、ズィヤール朝の建造物は破壊されましたが、この塔は奇跡的に現在まで残っており、非常に歴史的価値が高いスポットとなっています。

また、驚くべきはその建築の美しさ。 黄金比や科学的な精密な計算を元に造られたこの塔は、その時代、ズィヤール朝に高い土木技術があったことを証明する貴重な建物ともなっています。

英名:Gonbad-e Qābus
地図:Googleマップ
アクセス:ゴルガーンからタクシーで2時間

イラン縦貫鉄道

イランの世界遺産
Copyright : © Hossein Javadi

イラン縦貫鉄道は、1938年に完成した北部のカスピ海と南西部のペルシャ湾を繋ぐ全長約1,400km鉄道路線です。

この鉄道路線はアルボルズ山脈とザグロス山脈というイランの2大山脈を超えるよう作られており、イランはじめアメリカやドイツ、デンマークなどの多数の国の43にも上る業者が手を組み作られた路線。まさに当時の鉄道技術の集大成とも言える路線でした。

激しい山々を超えるこの鉄道から見える車窓はまさに絶景で、現在は観光でも人気路線となっています。

英名:Trans-Iranian Railway
地図:先出の画像参照
アクセス:駅による

北東部の街・ゴナーバード周辺の世界遺産

北東部の街、ゴナーバードには1件の世界遺産があります。ゴナーバードには、マシュハドからバスないしタクシーで4時間ほどで行くことが可能です。

ペルシア式カナート(ゴナーバード)

イランの世界遺産 ペルシア式カナート(ゴナーバード)

ペルシア式カナートとは、砂漠地帯が多く水が不足しがちなイランだからこそ発達した地下水路。

山脈からの貴重な水を、蒸発を防ぐために地下トンネルを経由して集落へと繋ぐ灌漑システムで、イラン全国に広がる計11箇所のカナートが世界遺産として登録されています。

・Qasabeh Gonabad / ゴナーバード
・Qanat of Baladeh / フェルドゥース
・Qanat of Zarch / ヤズド
・Hasam Abad-e Moshir Qanat/ ヤズド
・Ebrahim Abad Qanat / アラーク
・Qanat of Vazvan / イスファハーン
・Mozd Abad Qanat / メイメ
・Qanat of the Moon / アルデスタン
・Qanat of Gowhariz / ジューパール
・Ghasem Abad / バム
・Akbar Abad / バム
中でも必見なのが、この中で最古のカナートであるゴナーバードのカサベ・カナート。 このカナートはなんと、アケネメス朝時代、紀元前700年から500年の間に造られた巨大カナートで、なんとその井戸の深さは200m。 水路は13kmにも張り巡らされており、古代からのペルシャの土木技術を証明する施設となっています。
英名:The Persian Qanat
地図:Googleマップ カサベ・カナート
アクセス:ゴナーバードからタクシーで10分 カサベ・カナート

南東部の街・ザーボル周辺の世界遺産

パキスタンとの国境に面する街、ザーボルには1件の世界遺産があります。 ザーボルには、マシュハドから飛行機で1時間ほどで行くことが可能です。

シャフリ・ソフタ

イランの世界遺産 シャフリ・ソフタ
Copyright : shahresokhta.ir

シャフリ・ソフタは「焼失した町」呼ばれる、約5000年の歴史を持つ遺跡です。

日干しれんがでできたその町はモニュメント区域、住居区域、産業区域、墓地の4区域に整備され、発達を遂げてきましたが、前2000年頃に突如消え去ってしまいます。

しかし、ここの場所からは前3000年紀の出土品や遺跡など、当時の歴史を紐解く遺産が多く残され、歴史的に非常に貴重な遺跡とされています。

地理的にアフガニスタンとの国境に面しており、治安が安定していないことから現在日本の外務省の渡航中止勧告が出ている地域の為、今は行かない方が賢明かもしれません。

英名:Shahr-i Sokhta
地図:Googleマップ
アクセス:ザーボルからタクシーで40分

さいごに

このように、イランには地球が産んだ大自然から、古代の遺跡や近代の技術の集大成まで、バラエティに富んだ世界遺産が豊富にあります。

旅行で訪れる際は、その場所が「なぜ世界遺産になるほど重要かつ貴重な場所なのか」という点を予習してから行ってみてください。その方が実際にそこで学べることや、その場所に立つ感動も倍増すると思います!

それでは、また別記事でお会いしましょう。ホダハフェズ!